妊娠悪阻

「つわりはどう?」妊娠すると必ず聞かれることだと思います。

『つわり』とは、妊娠5週前後から16週前後まで続く心身の不調を総称して呼ばれます。吐き気や食欲不振、嗅覚の異常などが良く言われることと思いますが、それ以外にも眠気、イライラ、頭痛、食欲増進など多様な症状がみられます。その持続期間も人それぞれで、特効薬などは存在しません。

妊娠悪阻とは

つわりが生理的な反応と解釈するのであれば、『妊娠悪阻』はそれが病的は範疇になったもの、と理解できます。具体的には脱水症状、尿中ケトン体陽性、極度の嘔気・嘔吐、体重減少などです。ある種の自家中毒のような状態になってしまっています。この悪循環を脱するために点滴などの治療が必要となってきます。

重度な例では、症状がつらすぎて母体の健康維持が困難となり、妊娠中絶を選ばざるを得ない、というようなこともあります。吐き気だけだと油断していると、栄養失調から臓器不全まで進展する可能性もあります。

治療は

点滴加療により脱水の改善、栄養補給、ビタミン不足を補正します。重症の場合は入院が必要となりますので、当院からご紹介いたします。食事のとり方、水分のとり方を工夫します。個人差が大きいので画一的な治療は難しいため、ご相談しながら対応していきます。

妊婦さんの周りの方へ

重症悪阻の頻度は妊娠している方の1%以下ですがつわりは80%の妊婦に認めるともいわれています。つわりは個人差が非常に大きいです。ご出産を経験されている女性であっても、ご自身の経験と目の前の妊婦さんの経験は決して一緒ではありません。男性からの見た目で測れる症状はまさに氷山の一角です。

「つわりが軽くてよかったね」「つわりなさそうでよかったね」と本当に親切心からかけた言葉でも、その方にとっては決して軽いものではないかもしれません。

妊娠することで、何かしらの変化は必ずあります。そこをねぎらう言葉がけをしていただけたらと思います。

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