LEP製剤(ピルについて)

LEP(Low dose Estrogen Progestin)製剤とは低用量のエストロゲン、プロゲスチン含有製剤のことで、いわゆるピルの一つです。

エストロゲンとは卵胞ホルモンと呼ばれるホルモンで、プロゲスチンは黄体ホルモンと呼ばれるホルモンです。この二つを主に「女性ホルモン」と総称しています。

月経困難症や子宮内膜症の治療を目的とした薬剤で、保険適応となっています。似た薬剤にOC(Oral Contraceptive:経口避妊薬)があります。OCは避妊目的に使用する薬剤で、成分的には似たものですが、保険適応はありません。ちなみにピル(Pill)とは丸剤のことを指し、本来は上記女性ホルモン薬という意味はないそうです。海外ではそのままLEPやOCないしthe pillと表現します。

LEP製剤もいろいろありますが、イメージとしては月経をコントロールして、月経にまつわる諸症状を軽くしてくれるお薬、というもので間違いはないかと思います。

中には77日間投与(月経が2-3か月に1回)というものや120日間連続投与(月経が4か月に1回)という薬剤もあります。含有されているホルモンも若干異なり、各個人に合わせた選択肢が広がっています。

この製剤の主な目的は月経困難症や子宮内膜症の改善、コントロールですが、その副次作用として、排卵抑制のため高い避妊効果があることや、ざ瘡(にきび)の改善、月経前の精神的安定などの作用もあります。飲み始めの頭痛やむくみ、胸の張りなどは個人差が大きく、内服継続中に改善することがおおいものです。

重大な副作用の一つに血栓症がありますが、その発症頻度は内服している方で3-9/10000人、内服していない方で1-5/10000人です。一方でコロナ関連の血栓症発症が180/10000人です。これを大きいリスクと捉えるかどうかは個人の判断によりますが、私は、適切に使用する分には非常に安全性の高い薬剤と考えています。*もちろん使用してはいけない例も存在しますのでご相談ください。

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